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「愛」の衝動と狂気 不死身ラヴァーズ1・2巻


別冊少年マガジン連載。高木ユーナ著。
1人の一途な男の恋愛劇。ただしヒロインは毎回変わる。
作品内の法則はこんな感じ。
①ヒロイン長谷部りのは主人公甲野じゅんの前に現れ、甲野は長谷部に恋をする
②甲野の熱烈な求愛はついに長谷部の心を動かし、2人は結ばれる…と思ったら、その瞬間長谷部は消える
 物理的に消える。唐突に消える。存在自体も周りからの記憶からも消える。理由もわからず消える。
③喪失感に苛まれる甲野の前に、同じ顔、同じ名前の、別の長谷部が現れる
以下無限ループ。
こんな感じで、1・2話周期で甲野と長谷部の初対面から求愛、成就そして喪失が毎エピソード毎ヒロイン描かれるわけです。

出会いと別れ。ある意味では、恋愛モノの一番美味しい要素を凝縮している感じ
例えば恋愛オムニバスというジャンルでは、この「凝縮」が活かされてるものがあります。そしてそれは(世界観・人間関係がクロスオーバーするものはあっても)違う人物を毎回描くことで成立しています。同じカップルのエピソードを何度も描くのはそりゃ通常のラブコメの切り貼りなわけでして。
同主人公同世界観で凝縮したそれを描くには、・主人公がフラれまくったり・別れまくったり・遊びまくったりしなければいけないわけです。ヒロインもその都度変わるわけです。(例として挙げれば男はつらいよの寅さん)

ところが、「消えては現れる」という設定・構造を使うことで、「同じ女性に一途に想いを寄せる男」を描き、「その成就」を切り出し、「唐突な別れ」をぶち込み、その勢いのまま次のエピソードにと繰り返せるのです。
アクロバティックな設定を使うことで、「美味しいとこ取り」しつつ、同一性があるからこその「キャラの想いの積み重なり」とが説得力を持って表現でき、更にキャラの固定によって「読者の思い入れ」が深まる。その良いとこ取りを可能にしたのです。
ここら辺、師匠筋らしい諫山創が一巻の帯にて「革新的な構造を持っている発明的な作品」と評しています。たしかにこの新鮮さには衝撃を受けました。

ただ、「構造の発明」に胡座をかいているだけの作品ではなく。
それの活かし方、それこそがこの作品の白眉なところだと思うのですよ。

繰り返される求愛・成就・喪失、その激動の中で、僕の心を打つのは、「狂おしいほどに純粋で一途な恋心」が一貫して描かれているところなのです
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甲野の求愛は痛々しく、ダサい。
絵柄の粗さ、言葉回しの大げささ、勢いだけで間が抜けてる行動、スタイルから表情から何から何までが、ダサさに拍車をかけています。
ただ、だからこそまっすぐで情熱的で、命がけ。
愚直に一途に「好きだ」って感情をぶつけてきます。
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「長谷部だから」問答無用で好きになる。
ただ、現れる長谷部は、みんな違う女の子。その人となりはわからない。
まず好きになって、近づいていって、どんどん知っていく長谷部の人柄・意思・表情。
甲野の気持ちは青天井で高まっていきます。
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そして、その気持ちの強さ故に、その喪失は痛烈に甲野の心を抉るのです。

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心理描写として、心臓が抜け落ち、切り刻まれるという表現。
粗くて豪快な本作の表現を象徴するな、ベタとアバンギャルドを兼ね備えた強烈なシーンは、スマートさこそ無いものの読んでる身に締め付けるような圧迫感を覚えさせます。

一瞬しか報わえない恋を繰り返し続けてきた甲野ですが、恋することをやめよう・諦めようとは決してしません。
結末が悲劇であれ、そこに至るまでの多幸感、互いにわかりあう喜びが、彼の心を支えて動かしています。
喜び・不安・焦燥・恐怖・喪失感…繰り返されるサイクルの中、甲野はその感情をまざまざと見せつけます。
恋愛感情の原始的な破壊力、そんなものでガンガン殴られていくような感覚です。

もっとも、そこには狂気も孕んではいるのですが…
恋の成就=長谷部の消失、別れ。理由はわからないけど、そういうことらしい。では、長谷部が自分を好きにならなかったら、長谷部は消えないのではないか?自分の愛情が彼女を蝕んでいるのでは?当然その考えもよぎる訳です。
だけれども、甲野は愛することを止めようとはしません。
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「愛するという事が良くわからない」という長谷部が現れた時、甲野は彼女の消失する恐怖は抱えながらも、それ以上に「この素晴らしい愛というものを長谷部に教えてあげたい」と奮闘します。
座右の銘が「ノードキドキノーライフ」な甲野らしい考え方。愛を知ることが、長谷部のためにもなるんだという信念。でも、その結果長谷部が消えてしまうとしても?それが長谷部のためなのか?
そしてついには「長谷部が消えない=自分のことを本気で好きになっていない」という考えに至るのです。
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これはちょっとゾクっとしますよ。あんなに恐れていた長谷部の消失を、起こらない事に違和感を覚える甲野。この先、彼女の喪失を進んで望むようになる?とか考えると、今まで気付いてきた作品の根底をひっくり返しそうな、そんな危うさを、勘ぐってしまいました。
「愛に気付いてください」というエゴで彼女を殺そうとする。そんな狂気の一角に触れた気がしました。

繰り返す喪失に終わりはあるのか、ハッピーエンドは、物語の落とし所はどこにあるのか。革新的であり不条理な物語であるからこそ、着地を決めるのが非常に難儀しそうな印象はあります。ただ、これまで期待を上回るエピソードを見せ続けてきた作品だけに、期待値アゲアゲで楽しみにしていきたいと思います。


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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

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