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乙女はループものの狂気を見るか? 片隅乙女ワンスモア 1巻


伊藤正臣作。コミックバース連載。
片隅乙女ワンスモア 立ち読みページ - YONDEMILL
試し読みの第一話から惹きつけられました。
かつて命を救った見知らぬ少年を想い続けていた浦島しじみ
うろ覚えの命の恩人への恩義を忘れずにいた亀田竜之介
少女の淡く不器用な一夏の恋は儚くも切なく散ります。
そこから急転直下、託される世界の(町だけど)命運、背負った宿命。
そして再び恋物語。
「成功するまで再ゲーム」の終わらない夏休み

いわゆるループものです。
ド定番の設定ですが、「そっちに行くのか!」と驚きました。
というのも、ループものは、その構造上おぞましいものとなりえるから。
「事実を一方だけ無にする」という行為は、重く残酷です。
第一話の、この儚くも美しい恋物語を、無かった事にしてしまうのかと。

時をかけるしじみにとって、ループする時間は蓄積されます。
龍之介と過ごした想い出も、積み重なっていきます
繰り返す度に彼を知り、想いは深まるでしょう。

ですが龍之介に積み重ねがあるわけなく。
少女との一夏は彼に想い出を与えるでしょうが、
時間を戻せばなかった事に
ループの度に出会うのは、初対面当然の一少女に過ぎず。

想いはしじみにだけ一方的に積み重なり、
片想いを更に偏重させます。
一方的に想いを重ねた結果、その愛情に狂気をはらむというのは、
ループものの定番でもあり。
「常に最善手が打てる」というのは、もはや全能であり、
普通の人間とはかけ離れてしまうからです。

今は、しじみの不器用で鈍感な性格のため、
そういう「おぞましさ」は現れていません。
四苦八苦する普通の恋する乙女。
ただ、3度目の夏、龍之介との出会いと自己紹介を
簡潔にこなせたことに喜ぶしじみに、
「ループものの狂気」をふと感じてしまうのでした。

物語は田舎の町を舞台にした、牧歌的でノスタルジックな物語です。
「ループものの狂気」なんて我ながら穿った見方というか、
少なくとも現状の、作品の主題とは離れた見方と思います

ですが、1巻の最後にちょっと、それを思わせる描写が。
玉手箱=町の滅びの鍵となる道具が、
海底に無数に放置され朽ち果てている不気味な風景。
そこには確かに、これまで何度も繰り返し、
そして消滅させられた時間・想い・存在があったんだ。
そしてそれは無くなってしまったんだと。
そんな、物語世界の仄暗さの一端を思わせたのでした



他サイト感想記事
雑食商店街3373番地:町の命運は、ひとつの恋に委ねられた。 『片隅乙女ワンスモア』1巻(伊藤正臣)

コンプレックスを抱えた地味少女がその殻を打ち破っていく、これは乙女の意地の物語。不思議に素敵な恋の物語なのです。

伊藤正臣『片隅乙女ワンスモア』|そのスピードで

いわゆる「タイムリープもの/ループもの」SFを軸にすえつつ、
「おとぎ話」のファンタジーで重層化し、「ご当地もの」の海岸風景で読者をひきこむ。
入念に練りあげたプロットだと、以上の要約でつたわったろうか。

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ループ

>今は、しじみの不器用で鈍感な性格のため、
>そういう「おぞましさ」は現れていません。
>四苦八苦する普通の恋する乙女。

そうそう、自分も漠然と感じてたけどスルーしてたことを、
きっちり書いてあってさすがと思いましたね。

「ループもの」の嫌らしさが、あるようなないような、微妙な作品というか。
もっと人気が出ると良いんだけどなあ(´・ω・`)

ウチのブログの紹介もありがとうございました。

No title

コメントありがとうございます。
犬塚ケンさんの記事を参考に、色々ひねってみました。
瑞々しく素敵な漫画だと思います。
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